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加齢黄斑変性

診療科・センター・部門のご案内

原因や症状

加齢黄斑変性とは、加齢に伴い、眼の中の網膜(もうまく)というカメラのフィルムにあたる膜の中心部・黄斑(おうはん)に出血やむくみをきたし、視力が低下する病気です。放置すると進行して、視力の回復が不能になってしまう、厄介な病気です。発生率は50歳以上の約0.8%で、男性に多く、近年、高齢化社会になるにつれ、その増加が問題になってきています。

(図1)

原因

加齢以外にも喫煙、肥満、偏った食生活、日光への暴露、高血圧、遺伝などの関与も指摘されています。

症状

早期の加齢黄斑変性では見え方の変化はわずかであるため、自覚症状がないこともあります。病気が進行すると視力の低下や、物がゆがんで見える、色の区別がつきにくい、中心部が見えにくいなどの症状を生じます。

下記の格子状の表を用いると、日常生活では自覚することができない早期の加齢黄斑変性を発見することができます。格子状の表を見た時に格子のゆがみや一部が黒く見えるような場合には、眼科での精査が必要です。

格子状の表

物がゆがんで見える病気には、加齢黄斑変性以外にも黄斑前膜、黄斑円孔、糖尿病黄斑浮腫などがあります。

分類

加齢黄斑変性は「新生血管型」と「萎縮型」の2つに分類されます。

  • 新生血管型
    網膜に生じた異常な血管(新生血管)から血液や水分が漏出することで、網膜内や網膜下に出血や浮腫が生じます。新生血管はVEGF(血管内皮細胞増殖因子)によって誘導されるので、抗VEGF薬の硝子体内注射を行うことで新生血管の勢いを抑制します。症状の進行が速く一度障害された網膜の機能は元通りに戻ることはないため、早期の診断と治療が重要です。
  • 萎縮型
    加齢と共に黄斑部の網膜の萎縮が進行し、進行すると境界明瞭な黄斑部の萎縮にいたります(地図状萎縮)。症状の進行は緩徐ですが、有効な治療法がありません。

検査・診察

視力検査の他に、眼底検査、光干渉断層計(OCT)、蛍光眼底造影検査などを用いて診断します。

  • 光干渉断層計(OCT:Optical Coherence Tomography)
    眼底病変をCTやMRIのような断層画像データとして見ることができるため、眼底検査だけでは分からない病変がより詳しく診断できます。当院では2013年から導入されています。
    左が正常な黄斑部の画像で、右が加齢黄斑変性の画像です。
    加齢黄斑変性では、黄斑部に新生血管が発生し、血液の水分(滲出液)が漏れ出たり、血管がやぶれて出血を起こします。

(図3)

  • 蛍光眼底造影検査
    腕の静脈から造影剤を入れながら眼底写真を撮ります。検査時間は約15分程度です。
    造影剤は特殊なフィルターを通して光を当てると蛍光を発する性質があり、網膜の血管を造影するフルオレセイン(FA)と脈絡膜の血管を造影するインドシアニングリーン(IA)の2種類があります。
    新生血管や周囲の出血や滲出性変化など、通常の眼底検査だけでは発見が困難な病変を詳しく調べることができます。

(図4)

治療

抗VEGF薬の硝子体内注射

加齢黄斑変性の原因である新生血管はVEGF(血管内皮細胞増殖因子)によって誘導されます。このVEGFの作用を抑えるために、抗VEGF薬を眼内に注射(硝子体内注射)を行います。加齢黄斑変性に対して、まず最初に行う治療法です。
治療開始時は、1ヶ月の間隔を空けて合計3回の注射を行います(導入期の治療)。その後は定期的の病状の経過をみながら、2〜3ヶ月毎に追加の注射を行います(維持期の治療)。一旦症状がよくなっても再発することがあるため、定期的な検査と治療の継続が大切です。

(図5)

抗VEGF薬の硝子体内注射の費用は、健康保険が適用されますが、自己負担額は、注射1回ごとに1割負担の方で2万円弱、3割負担の方で5万円前後となっています。医療費が高額になる場合に、高額療養費制度の利用により窓口での支払い額を軽減できることがありますので、『患者支援コーナー』へご相談下さい。

光線力学的療法(PDT)

抗VEGF薬硝子体内注射だけでは治療が困難な難治性の加齢黄斑変性に対して行う治療法で、特殊なレーザーを病変部に照射する治療です。当院では光線力学療法には対応していないため、治療が必要な場合には、連携している東京科学大学等、専門の医療機関へご紹介させていただきます。

日常生活で出来ることから、
加齢黄斑変性を予防しましょう。

禁煙

研究結果から、喫煙は加齢黄斑変性の危険因子となることが分かっています。
喫煙されている方には禁煙が強く勧められます。

光から目を守る

太陽光やテレビ・パソコンの青色光は、黄斑の老化に関係するといわれています。
屋外では帽子やサングラスなどを使用し、屋内では長時間のテレビ鑑賞やパソコン使用を控えて目を守りましょう。

バランスの良い食事を心がける

加齢黄斑変性の予防に良いとされる栄養素に、緑黄色野菜に豊富に含まれているビタミンA、C、Eなどの抗酸化ビタミンやルテインなどのカロテノイド、穀類、貝類、根菜類に含まれる亜鉛などの抗酸化ミネラル、魚類に含まれるω-3多価不飽和脂肪酸などがあります。
これらの食品を摂取しバランスの良い食事を心がけましょう。