骨粗しょう症は一度は耳にしたことがあると思います。骨粗しょう症になると、骨の中がスカスカになってもろくなり、ちょっとしたことでも骨折しやすくなります。
50歳以上の女性の3人に1人が骨粗しょう症にかかっているといわれていて、更年期以降の多くの女性にとって身近な病気です。男性も骨粗しょう症になる方はいらっしゃいますが、女性に多いのは女性ホルモンに関係しているからです。骨は新陳代謝を繰り返しながら常に作り替えられていますが、女性ホルモンはこの新陳代謝のバランスを保つ働きがあります。女性は閉経すると女性ホルモンの分泌量が低下してしまうため、骨の新陳代謝のバランスが崩れて骨密度が低下し、骨粗しょう症になりやすいのです。
田辺製薬販売株式会社HPより
骨粗しょう症は、初期のころはほとんど症状がないため、知らない間に症状が進行してしまいます。
以下のような症状がでてきたら、骨粗しょう症のサインかもしれません。
症状が重くなると、背中や腰の激しい痛みで寝込んでしまったり、ちょっと転んだだけで手首や足の付け根を骨折するようになります。また、背中の曲がりもひどくなり、身長の縮みも目立つようになります。
公益財団法人 骨粗鬆症財団HPより
骨粗しょう症の治療は、基本的には食事療法や運動療法、薬物療法で対処していきますが、症状が進行してくると、尻もちのような軽い外傷でも脊椎の圧迫骨折を起こすことがあります。
圧迫骨折の治療は基本的に2週間程度の安静と、その後コルセットをつけてリハビリをしていくうちに痛みが取れて歩けるようになるのですが、中には1か月以上経ってもなかなか痛みが取れずに、いわゆる偽関節(骨がつかない)の状態になってしまったり、ひどく背中が曲がってしまう方がいらっしゃいます。
重度の場合の外科的な治療方法として、当院ではBKP(Balloon kyphoplasty)という術式を行うことができます。これは、椎体内に丈夫な風船(バルーン)を膨らませてつぶれた骨を矯正し、そこに骨セメント(充填剤)を充てんするもので、低侵襲(体への負担が少ない)の治療法です。
手術は30分ほどで終わり、5㎜程度の小さな穴から骨の中に骨セメントを入れるので術後縫合することもなく、翌日には歩けるようになり、数日で退院も可能です。ただし、骨セメントが漏れないようにするために、全身麻酔で行う必要があるため、全身麻酔がかけられることが条件になります。また、すべての圧迫骨折に対して行えるわけではありませんので、適応については担当の医師にご相談ください。
せぼねと健康.comより
骨粗しょう症の予防には、食事療法、運動療法があります。
食事療法で骨を構成する栄養素を摂取し、運動療法で骨密度の強度を上げていきます。
食事療法では、骨の強化に欠かせないカルシウムやビタミンD、ビタミンKなどを積極的に摂る食事を心がけます。カルシウムを多く含む食品には、乳製品や小魚、大豆製品です。ビタミンDは魚類(とくに鮭)や、きのこ類(特にきくらげ)などに多く含まれます。ビタミンKは納豆や緑色野菜などに多く含まれます。
反対に、カルシウムの吸収を妨げる栄養素としてリンや食塩、アルコールがあげられます。リンはインスタント食品やスナック菓子、炭酸飲料などに含まれますので食べ過ぎには注意が必要です。
運動療法では、骨密度の強度を上げていきます。運動をすることで骨に適度な負荷をかけると、骨を作る細胞が活性化してカルシウムが骨に沈着しやすくなります。また、運動することで筋力やバランス力も鍛えられますので、転倒や骨折を防ぐ効果もあります。
散歩の習慣があるお年寄りは、背中がよく伸び骨が強いことがわかっています。骨を強くするためには、生活の中に散歩やゲートボールなどの軽い運動や、こまめに家事をするなどの活動的な習慣を取り入れることが大切です。
目安として、散歩なら1日30分程度、2キロメートルを歩くくらいから始めてみましょう。
骨粗しょう症による骨折を防ぐためには、日常生活での転倒予防も大変重要です。家の中の環境を見直して転倒しない環境作りを心がけましょう。
ファイザー骨粗鬆症の治療方法、MSD HPより